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業務改善にはどう取り組む?基本的な手順とマニュアルが持つ効果について解説

「業務改善」は、企業規模の大小を問わず、ビジネスにおける永遠の課題の1つといえるでしょう。昨今では、さまざまな業務がデジタル化されてきましたが、一見効率的に見えても実際には改善につながっていなかったということもあるかもしれません。重要なのは、企業や組織全体としての効率化につながることです。
この記事では、業務改善が目指すものや基本的な手順、すぐに取り組める施策、さらにそのなかの1つとして「業務の見える化」についてもご紹介します。

業務改善が目指すもの

そもそも、よく聞く「業務改善」とは、何を指すものなのでしょうか。多くの企業・組織が取り組む課題ですが、言葉としてはやや漠然としています。具体的な改善施策を実行するためには、この言葉が何を指しているのか正確に把握しておきたいところです。
業務改善としては、1つ考えられる定義が「ムリ・ムダ・ムラ」を省いて、生産性向上とコスト削減につなげることです。

現在行っているなかで無駄な業務があるのならば、それを省いて従業員を本来業務に専念させることで、生産性向上につながります。同様に、無理なワークフローを改善することで従業員の負担を減らしたり、それによって業務品質を安定させムラを省いたりすることにつながります。

業務改善は、特にここ数年注目を集め続ける働き方改革にも関わってくるものです。上記のような生産性向上とコスト削減の活動によって、より働きやすい環境を構築することも業務改善が目指すものといえるでしょう。

業務改善に役立つQCDの考え方

生産性向上やコスト削減を目的とした業務改善に有効なフレームワークはいくつもあり、広く活用されています。その1つとして、よく知られているQCDの意味について押さえておきましょう。 QCDとは、「Quality・Cost・Delivery」の略称で、「品質・コスト・納期」の視点から事業や改善活動を評価する考え方です。もともと製造業での生産管理の分野で使われていましたが、現在では他の分野でも活用されています。

業務や生産の効率化や利益の最大化といった文脈で使われるQCDですが、この考え方が優れているのは、3つの指標がそれぞれ相関関係にあるとしていることです。つまり、どれか1つの指標の改善だけを追求すると、他の指標が悪化してしまうということが起こります。例えば、「運送コストを削減したが、輸送中に製品が壊れることが増えた」といったケースは、コスト(C)を優先しすぎたために品質(Q)が損なわれた例です。QCDを意識しながら業務改善を進めることで、このような失敗を防ぎ、バランスよく改善活動が進められます。

業務改善を進める具体的な手順

業務改善の基本的な進め方としては、以下のような手順で進めていきます。

  1. 現状の見える化を行う
  2. 問題点を洗い出す
  3. 改善すべき項目と定量的な改善ターゲット(KGI・KPI)を設定する
  4. 設定したターゲットに対してのPDCAサイクルを回す

各ステップのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

キーとなるステップ「見える化」と問題点の洗い出し

手順のなかでも最初のステップにあたる、現状の見える化は非常に重要なステップです。見える化が適切に行われていなければ、問題点の把握や改善目標も誤ったもの(効果が薄いもの)となってしまいます。

ここで見える化する範囲は多岐にわたり、見積書を発行するまでのルーティンや営業部門が持つ顧客情報の整理、あるいは従業員の勤怠なども含まれるでしょう。範囲が広い分どこから手をつけてよいかわからなくなるかもしれませんが、始めやすい内容としては、定期的に行っているバックオフィスの定型業務がおすすめです。手順や担当者・決裁者、あるいはアウトプットの形が決まっており、ワークフローとして見える化しやすい分野といえます。逆に、クレーム対応のような非定型業務から始めてしまうと、最初からつまずいてしまい業務改善そのものが進まないということにもなりかねません。

現状の見える化は手作業でも進められますが、ITツールを活用して効率的に進めることもできます。最近では、パソコンにインストールして作業負荷や時間、あるいは従業員の勤怠を可視化できるツールも登場しているので、検討してみるのもよいかもしれません。
また、見える化した内容は業務マニュアルに落とし込むことで、属人化の防止やノウハウの共有につながります。既存の業務の可視化からできるため、取り組みやすい業務改善施策でもあることも、おすすめできるポイントです。

見える化した内容から、「ムリ・ムダ・ムラ」になっているポイントを検討し、問題点を洗い出します。

KGI・KPIの設定とPDCAサイクル

3つ目のステップである定量的なターゲットとしては、「KGI・KPI」という言葉が知られています。それぞれ「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」と「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」のことで、KGIは最終目標(ゴール)について、何をどれぐらいの期間で達成するのか、数値化したもの。そして、そのゴールに向かって進んでいくための中間目標が同じく数値で表されたKPIです。目標を定量化するだけではなく、KPIというパフォーマンスを計測する指標を中間に置くことで、最終的な改善までの進捗度を確認しながら着実に進めていくことができます。

また、PDCAサイクルとは「Plan・Do・Check・Action(計画・実行・評価・改善)」の略ですが、立てた計画と実際の結果をチェックし細かな修正を行っていくことで最終的な改善が達成されます。ここには、上記のKPIを評価のための指標として導入し、できるだけ短期間でサイクルを回していくことがポイントです。

業務改善にマニュアル作成が有効な理由と作成ツール選定のポイント

先にも触れたように、マニュアルの作成は業務改善に有効な施策といえます。というのも、マニュアル作成の持つ効果の1つに業務標準化があり、これによって「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことができるためです。
そして、関係する従業員すべてにノウハウを共有することで、部門全体のスキルアップにもつながります。さらに、継承者の不在によって会社・組織が蓄積してきた知識・ノウハウが失われてしまうことや、スキルを持った担当者の突然の離職といった事態にも対応可能です。

なお、品質ISO9000シリーズに準拠されている企業においては、業務マニュアルの運用も監査の対象となるため、ここではマニュアル作成・承認が必要となります。

定着するマニュアルを作れることがツール選定のポイント

上記のようなメリットがあるマニュアル作成ですが、現実には「作ったものの定着しない」という悩みも多く聞かれます。こうした事態を防ぐためには、定着するための機能を備えたマニュアル作成ツールの選定が重要になります。以下のようなポイントを意識しましょう。

  • 見やすい・わかりやすいマニュアルが作成できる
    定着するマニュアルに大切なのが、見やすさ・わかりやすさです。マニュアルというと文字で説明してあることをイメージしがちですが、画像や動画を積極的に使うと情報伝達がはるかにスムーズになります。
  • 閲覧する端末を選べる
    とりわけここ数年でリモートワークが急激に普及したこともあり、職場においてある紙ベースでしか参照できなかったり業務用パソコンからしか閲覧できなかったりすると、利便性を損ないます。場所や端末を選ばず参照できることは、マニュアル作成においてももはや必須要件といえるでしょう。
  • 更新や修正が簡単にできる
    マニュアルが参照されなくなってしまう原因の1つとして、「掲載情報が古くて参照できない」というケースが考えられます。こうした事態を防ぐためには、マニュアルも常にアップデートされなくてはなりません。このため、作成側が簡単に情報を更新・修正できるということも、ツール選びでは重要になります。 定着するマニュアル作りについては、こちらの記事もぜひご参照ください。
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まとめ:見える化から課題を洗い出すことが、業務改善の基本手順

業務改善はやや漠然とした言葉ですが、「ムリ・ムダ・ムラ」を省いて生産性向上とコスト削減につなげる、といった形で定義をはっきりさせて取り組んでいけば、決して難しいことではありません。改善を行うために、まずは現状を正しく把握、そこから洗い出した問題点に対して定量的な目標を設定して取り組んでいくことが基本的な手順です。改善活動には、QCDの視点を持ちながら進めることも効果的でしょう。

今回は、特に重要なステップである見える化と、取り組みやすい施策であるマニュアル作成について重点的に取り上げました。業務改善を支援するための便利なツールはさまざまに登場していますので、迷った際には進め方を含めてそうしたツールの事業者に相談してみるのがおすすめです。

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